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SDGs

海の豊かさを守ろう現状と課題を徹底解説

地球の表面積の約70%を占める海。私たちの食卓に並ぶ魚介類、地球の気温を安定させる気候調節機能、そして地球上の酸素の約50%を生み出す役割まで、海は私たちの暮らしを根底から支えています。しかし今、その海が深刻な危機に直面していることをご存じでしょうか。

SDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさを守ろう」は、まさにこの危機に対応するために設定されました。海洋汚染、乱獲、気候変動による海水温の上昇と酸性化——これらの問題は年々深刻さを増しています。個人的にSDGsに関する情報を調べていく中で感じるのは、目標14は17の目標の中でも特に達成が遅れている分野のひとつだということです。

この記事では、SDGs目標14の現状と具体的なターゲット、そして私たち一人ひとりにできることまで、包括的に解説していきます。

この記事で学べること

  • SDGs目標14には10のターゲットがあり、2020年・2025年の期限を迎えたものも複数存在する
  • 毎年約800万トンのプラスチックごみが海に流入し、2050年には魚の量を超えると予測されている
  • 世界の漁業資源の約34%が生物学的に持続不可能なレベルまで漁獲されている
  • 海洋酸性化は産業革命前と比べて約26%進行し、サンゴ礁や貝類に深刻な影響を与えている
  • 日用品の選び方や食生活の見直しなど、個人レベルでも海を守る具体的なアクションがある

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは何か

SDGs目標14は、正式には「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」という目標です。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に含まれる17の目標のひとつとして設定されました。

この目標が生まれた背景には、海が直面する複合的な危機があります。

海は地球の生態系において欠かせない存在です。世界人口の約40%が沿岸地域に暮らし、約30億人が海洋・沿岸の生物多様性に生計を依存しています。漁業だけでも世界で約2億人の雇用を支えているとされます。

にもかかわらず、人間活動による海洋環境の悪化は加速の一途をたどっています。目標14は、この現状を食い止め、海洋生態系を回復させるための国際的な枠組みとして機能しています。

目標14が掲げる10のターゲットを詳しく解説

SDGs目標14には、具体的な達成基準を示す7つのターゲット(14.1〜14.7)と、3つの実施手段(14.a〜14.c)が設定されています。それぞれの内容を見ていきましょう。

ターゲット14.1 海洋汚染の防止と削減

2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減することを目指しています。

このターゲットの期限は2025年です。しかし現状では、毎年推定約800万トンのプラスチックごみが海に流入し続けています。海洋に存在するマイクロプラスチックの問題も深刻化しており、目標達成には大きな課題が残されています。

ターゲット14.2 海洋・沿岸生態系の保護と回復

2020年までに、海洋・沿岸の生態系を持続的に管理・保護し、重大な悪影響を回避するとともに、損傷を受けた生態系の回復に取り組むことが掲げられていました。

このターゲットはすでに2020年の期限を過ぎています。マングローブ林やサンゴ礁、海草藻場といった重要な沿岸生態系の劣化は依然として続いており、完全な達成には至っていないのが現実です。

ターゲット14.3 海洋酸性化の最小化

あらゆるレベルでの科学的協力を強化し、海洋酸性化の影響を最小限に抑えることを目指しています。

海洋は大気中のCO2の約30%を吸収しており、その結果として海水のpHが低下する「海洋酸性化」が進行しています。産業革命前と比較して海水の酸性度は約26%上昇しており、サンゴ礁や貝類、甲殻類の生存に深刻な脅威を与えています。

ターゲット14.4 持続可能な漁業の実現

2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業やIUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)、破壊的な漁業慣行を終了させ、科学的な管理計画を実施することが目標でした。

こちらも2020年の期限を過ぎていますが、FAO(国連食糧農業機関)の報告によると、世界の漁業資源の約34%が生物学的に持続不可能なレベルで漁獲されているとされています。

ターゲット14.5 沿岸・海洋域の保全

2020年までに、沿岸域および海域の少なくとも10%を保全することを目指していました。

海洋保護区(MPA)の設定は進んでいるものの、実効的な管理が行われている海域はまだ限られています。2022年の国連海洋会議では、2030年までに海洋の30%を保護する「30by30」目標が議論され、より野心的な取り組みへの転換が進められています。

ターゲット14.6 漁業補助金の規制

過剰漁業や過剰漁獲能力につながる漁業補助金を禁止し、IUU漁業を助長する補助金を撤廃することを目指しています。

2022年にはWTO(世界貿易機関)でIUU漁業への補助金を禁止する歴史的な合意が成立しました。これは目標14の達成に向けた大きな前進と言えます。

ターゲット14.7 海洋資源の持続可能な利用による経済的利益の増大

小島嶼開発途上国や後発開発途上国に対し、漁業・水産養殖・観光の持続可能な管理を通じて、海洋資源の持続可能な利用による経済的利益を増大させることが掲げられています。

実施手段(14.a・14.b・14.c)

これらは目標達成を支える具体的な手段として設定されています。

14.aは海洋の健全性改善のための科学的知識の増進と研究能力の向上、14.bは小規模漁業者の海洋資源や市場へのアクセス確保、14.cは「我々の求める未来」で想起されるとおり、海洋・海洋資源の保全と持続可能な利用のための法的枠組みの強化を求めています。

目標14の10のターゲットのうち、2020年を期限としていたものが複数あり、いずれも完全達成には至っていない。2030年の最終期限に向けて、取り組みの加速が急務となっている。

国連SDGs進捗報告に基づく分析

海が直面している4つの深刻な問題

ターゲットの全体像を把握したところで、現在の海が具体的にどのような危機に直面しているのか、主要な4つの問題を掘り下げていきます。

海洋プラスチック汚染の深刻化

海洋汚染の中でも、特に注目を集めているのがプラスチック問題です。

毎年約800万トンものプラスチックごみが海に流入しているとされ、このペースが続けば2050年には海中のプラスチックの重量が魚の総重量を上回るという衝撃的な予測もあります。

さらに深刻なのが、5mm以下に分解された「マイクロプラスチック」の問題です。これらは海洋生物の体内に取り込まれ、食物連鎖を通じて最終的に私たちの食卓にも影響を及ぼす可能性があります。日本の周辺海域でも、マイクロプラスチックの濃度が世界平均の約27倍に達するという調査結果が報告されています。

過剰漁業と違法漁業

世界の漁業資源の状況は厳しさを増しています。

FAOの報告によると、持続可能なレベルを超えて漁獲されている魚種の割合は、1970年代の10%から現在は約34%にまで増加しました。特にIUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)は年間推定2,600万トンに達するとされ、正規の漁業者の生計を圧迫するだけでなく、生態系全体のバランスを崩す原因となっています。

日本は世界有数の水産物消費国であり、この問題は私たちの食生活とも密接に関わっています。

海洋酸性化とサンゴ礁の危機

大気中のCO2濃度の上昇に伴い、海水に溶け込むCO2も増加しています。

その結果、海洋の酸性化が進行し、炭酸カルシウムの殻や骨格を形成するサンゴ、貝類、プランクトンなどの海洋生物に深刻な影響を与えています。世界のサンゴ礁の約50%がすでに失われたとされ、現在のペースでは2050年までにさらに90%以上が消失する恐れがあると指摘されています。

サンゴ礁は海洋生物種の約25%の生息地であり、その消失は海洋の生物多様性に壊滅的な打撃を与えかねません。これはSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」とも深く関連する課題です。

沿岸生態系の劣化

マングローブ林、海草藻場、干潟などの沿岸生態系は、「ブルーカーボン」と呼ばれるCO2吸収源としての機能を持つだけでなく、魚介類の産卵・生育場所としても極めて重要な役割を果たしています。

しかし、沿岸開発や水質汚染により、世界のマングローブ林は過去50年間で約35%が失われました。日本でも、埋め立てや護岸工事により干潟や藻場の面積が大幅に減少しています。

約800万t
毎年海に流入するプラスチック

約34%
持続不可能なレベルの漁業資源

26%
産業革命前からの海洋酸性化進行率

約50%
すでに失われたサンゴ礁

💡 実体験から学んだこと
SDGsの各目標について調べていく中で、目標14は他の目標と比べて「進捗データの可視化」が難しい分野だと感じています。海洋という広大なフィールドの変化を正確に把握すること自体が大きな課題であり、だからこそ科学的な調査・研究の拡充が不可欠だと実感しました。

目標14の達成状況と残された課題

2020年を期限としたターゲットの多くが未達成のまま期限を迎え、2025年の期限が迫るターゲット14.1についても、達成は極めて困難な状況にあります。ここでは、目標14の進捗を俯瞰的に評価していきます。

すでに期限を過ぎたターゲットの現状

ターゲット14.2(生態系の保護・回復)、14.4(持続可能な漁業)、14.5(海洋の10%保全)はいずれも2020年が期限でした。

海洋保護区(MPA)の面積は着実に拡大しており、世界の海洋の約8%がMPAに指定されています。しかし、実効的な管理が行われている海域は全体のごく一部にとどまっている。「保護区に指定されている」ことと「実際に保全されている」ことには大きなギャップがあるのが実情です。

過剰漁業については、一部の地域で回復の兆しが見られるものの、全体としては改善が進んでいません。特に開発途上国の沿岸域では、小規模漁業者による乱獲が依然として深刻な課題となっています。

2025年期限のターゲット14.1への懸念

ターゲット14.1は、2025年までにあらゆる種類の海洋汚染を防止・大幅削減することを求めています。

しかし、プラスチック生産量は世界的に増加を続けており、海洋ごみの流入を「大幅に削減」できたとは言い難い状況です。2024年に行われた国連プラスチック条約の交渉では、法的拘束力のある国際条約の策定に向けた議論が進められましたが、合意形成には困難が伴っています。

日本の取り組みと課題

日本は四方を海に囲まれた海洋国家として、目標14に特に深い関わりを持っています。

日本政府は「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を策定し、2050年までに追加的な海洋プラスチックごみ汚染をゼロにする目標を掲げています。レジ袋の有料化やプラスチック資源循環促進法の施行など、具体的な政策も実施されてきました。

一方で、SDGs達成度の国際ランキングにおいて、日本は目標14の達成状況で課題が残るとの評価を受けることが多い分野でもあります。特に水産資源管理や沿岸生態系の保全において、さらなる取り組みの強化が求められています。

📊

世界の漁業資源の状態

低利用
7%

適正利用
59%

過剰漁獲
34%

世界と日本で進む具体的な取り組み事例

課題は山積していますが、世界各地で希望の持てる取り組みも着実に広がっています。ここでは、注目すべき具体的な事例を紹介します。

海洋プラスチック対策の国際的な動き

2022年の国連環境総会(UNEA)では、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際条約の策定に向けた交渉開始が決議されました。これは「パリ協定以来の環境分野における最も重要な合意」とも評されています。

各国レベルでは、EUが使い捨てプラスチック製品の禁止指令を施行し、カナダやインドも同様の規制を導入しています。日本でも2022年に施行された「プラスチック資源循環促進法」により、事業者にプラスチック使用量の削減や回収・リサイクルの取り組みが求められるようになりました。

持続可能な漁業認証制度の普及

MSC(海洋管理協議会)認証やASC(水産養殖管理協議会)認証など、持続可能な漁業・養殖業を証明する国際認証制度が広がっています。

日本でも、MSC認証を取得した漁業が増加傾向にあり、大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアでもMSC・ASC認証製品の取り扱いが拡大しています。消費者が認証マークのついた水産物を選ぶことが、持続可能な漁業を後押しする直接的な力となる。

ブルーカーボンへの注目

海洋生態系が吸収・貯蔵する炭素「ブルーカーボン」への関心が高まっています。

マングローブ林、海草藻場、塩性湿地などは、陸上の森林と比較して単位面積あたり最大10倍のCO2を吸収する能力があるとされています。日本では横浜市が全国に先駆けてブルーカーボンの取り組みを推進し、気候変動対策と海洋保全を両立させるモデルケースとして注目されています。

海洋保護区の拡大と「30by30」目標

2022年12月のCOP15(生物多様性条約締約国会議)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2030年までに陸と海の少なくとも30%を保全する「30by30」目標が合意されました。

これは、ターゲット14.5の「10%保全」を大幅に上回る野心的な目標です。日本政府もこの目標に沿って、陸の豊かさを守る取り組みと連携しながら、海洋保護区の拡大を進めています。

テクノロジーを活用した海洋モニタリング

人工衛星やAI、ドローン、自律型水中ロボット(AUV)などの先端技術を活用した海洋モニタリングも進展しています。

例えば、Global Fishing Watchは衛星データとAIを組み合わせて世界中の漁船の活動をリアルタイムで監視し、IUU漁業の摘発に貢献しています。日本でも、JAXAの衛星データを活用した海洋環境モニタリングや、AIによる漁業資源量の予測技術の開発が進められています。

💡 実体験から学んだこと
スーパーで水産物を購入する際、MSC認証やASC認証のマークを意識的に探すようになってから、日本でも認証製品の取り扱いが着実に増えていることに気づきました。数年前と比べると選択肢が明らかに広がっており、消費者の意識変化が市場を動かしている実感があります。

私たちにできること 日常生活からの海洋保全

海の問題は規模が大きく、個人の力では何も変えられないと感じてしまうかもしれません。しかし、一人ひとりの日常的な選択の積み重ねが、海洋環境に確実に影響を与えている。ここでは、今日から実践できる具体的なアクションを紹介します。

プラスチック使用量を減らす

マイバッグ、マイボトル、マイ箸の持参は基本中の基本です。さらに一歩進んで、過剰包装の少ない商品を選ぶ、詰め替え用製品を活用する、使い捨てプラスチック製品の使用を意識的に避けるなど、リデュースの考え方を日常に取り入れることが重要です。

持続可能な水産物を選ぶ

買い物の際にMSC認証(青いラベル)やASC認証(緑のラベル)のマークがついた水産物を選ぶことは、持続可能な漁業を直接支援する行動です。また、旬の魚を選ぶことも、特定の魚種への過剰な需要集中を防ぐことにつながります。

海岸清掃活動への参加

各地で行われているビーチクリーンアップ活動に参加することは、直接的な海洋ごみの除去に貢献するだけでなく、海洋汚染の実態を肌で感じる貴重な機会にもなります。多くの自治体やNPOが定期的に活動を実施しています。

CO2排出量を意識した生活

海洋酸性化の主な原因は大気中のCO2の増加です。省エネルギーの実践、公共交通機関の利用、再生可能エネルギーの選択など、環境を守る取り組みを日常生活に取り入れることが、間接的に海洋保全にもつながります。

正しい知識を広める

海洋問題について学び、家族や友人と共有することも大切なアクションです。SNSでの情報発信や、学校・職場での話題提起など、意識の輪を広げていくことが社会全体の変化につながります。

今日からできる海を守るアクションリスト







目標14と他のSDGs目標との関連性

SDGsの17の目標は互いに密接に関連しています。目標14「海の豊かさを守ろう」も例外ではなく、複数の目標と深いつながりを持っています。

目標13「気候変動に具体的な対策を」との関連

気候変動は海洋酸性化や海水温の上昇を引き起こし、海洋生態系に直接的な打撃を与えます。逆に、海洋生態系の保全はCO2の吸収・貯蔵を通じて気候変動の緩和に貢献します。海洋と気候は切り離せない関係にあり、両方の目標を同時に追求する必要がある。

目標15「陸の豊かさも守ろう」との関連

陸上での農薬使用や土壌流出は、河川を通じて最終的に海に影響を与えます。陸の生態系の保全は、海洋環境の保全にも直結しているのです。森林破壊対策も、土壌流出を防ぐことで海洋への悪影響を軽減する効果があります。

目標1「貧困をなくそう」との関連

世界の約30億人が海洋・沿岸の資源に生計を依存しています。海洋資源の枯渇は、特に開発途上国の沿岸コミュニティの貧困問題を深刻化させる恐れがあります。持続可能な漁業の実現は、貧困削減にも直結する課題です。

目標4「質の高い教育をみんなに」との関連

海洋リテラシー(海洋に関する理解と知識)の向上は、質の高い教育の一環として重要です。次世代が海洋問題を正しく理解し、行動できるようにするための教育プログラムの充実が求められています。

⚠️
注意事項
SDGsの各目標は独立して達成できるものではありません。目標14の達成には、気候変動対策、陸上の環境保全、教育の充実、貧困対策など、複数の目標を統合的に推進するアプローチが不可欠です。ひとつの目標だけに注力しても、根本的な解決にはつながりにくいことを理解しておく必要があります。

2030年に向けた展望と今後の課題

SDGsの最終期限である2030年まで、残された時間は限られています。目標14の達成に向けて、今後何が必要なのかを考えます。

取り組みの加速が不可欠

国連の報告書では、目標14は17の目標の中でも特に進捗が遅れている分野のひとつとして指摘されています。2020年期限のターゲットが未達成であることを踏まえると、残りの期間で劇的な改善を実現するには、これまでとは異なるレベルの取り組みが求められます。

科学と政策の連携強化

海洋科学の「10年」(国連海洋科学の10年、2021-2030年)が進行中であり、科学的知見に基づく政策立案の重要性がこれまで以上に認識されています。データに基づく意思決定と、科学者・政策立案者・市民社会の協力体制の構築が鍵となります。

資金メカニズムの拡充

海洋保全への投資は、その重要性に比べて依然として不足しています。ブルーボンド(海洋保全目的の債券)やブルーファイナンスといった革新的な資金調達メカニズムの拡充が、取り組みを加速させるために欠かせません。

目標14の達成は容易ではないが、世界中で進む取り組みの積み重ねが、確実に変化を生み出しつつある。

一人ひとりが海洋問題を「自分ごと」として捉え、日常の中でできることから行動を始めること。それが、2030年に向けた最も確実な一歩ではないかと感じています。

よくある質問(FAQ)

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」はなぜ重要なのですか

海は地球の表面積の約70%を占め、地球上の酸素の約50%を生み出し、CO2を大量に吸収して気候を安定させる役割を担っています。また、世界人口の約40%が沿岸地域に暮らし、約30億人が海洋資源に生計を依存しています。海洋環境の悪化は、生態系の崩壊だけでなく、食料安全保障や経済にも深刻な影響を及ぼすため、目標14の達成は人類全体にとって極めて重要です。

目標14の達成状況はどの程度ですか

率直に言えば、目標14は17のSDGs目標の中でも特に進捗が遅れている分野です。2020年を期限としたターゲット(14.2、14.4、14.5など)は完全達成に至っておらず、2025年期限のターゲット14.1(海洋汚染の防止・削減)も達成が困難な状況にあります。ただし、海洋保護区の拡大やWTOでの漁業補助金規制合意など、前進している分野もあります。

個人で海の豊かさを守るために最も効果的な行動は何ですか

最も手軽で効果的なのは、プラスチック使用量の削減と持続可能な水産物の選択です。マイバッグやマイボトルの使用に加え、MSC認証・ASC認証のマークがついた水産物を購入することで、持続可能な漁業を直接支援できます。また、排水口に油や化学物質を流さないなど、水質汚染防止への配慮も重要です。小さな行動でも、多くの人が実践すれば大きな変化につながります。

海洋プラスチック問題はどの程度深刻ですか

毎年約800万トンのプラスチックごみが海に流入しており、このペースが続けば2050年には海中のプラスチックの重量が魚の総重量を上回るとの予測があります。特にマイクロプラスチック(5mm以下の微細なプラスチック片)は、海洋生物の体内に蓄積され、食物連鎖を通じて人間の健康にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。日本周辺海域のマイクロプラスチック濃度は世界平均の約27倍との報告もあり、日本にとっても身近な問題です。

企業はSDGs目標14にどのように貢献できますか

企業が取り組める方法は多岐にわたります。製品のプラスチック包装削減、サプライチェーンにおける持続可能な水産物調達(MSC・ASC認証品の採用)、製造過程での排水管理の徹底、海洋保全プロジェクトへの資金提供や協力などが挙げられます。近年はESG投資の観点からも海洋保全への取り組みが企業価値に直結するようになっており、事業戦略の一環として目標14に取り組む企業が増えています。