SDGs17の目標一覧とわかりやすい解説

2015年9月、ニューヨークの国連本部で193の加盟国が一つの約束を交わしました。「誰一人取り残さない」という理念のもと、2030年までに達成すべき17の目標——それがSDGs(持続可能な開発目標)です。
ニュースや企業のウェブサイトで「SDGs」という言葉を目にする機会は増えましたが、実際に17の目標すべてを正確に理解している方は、意外と少ないのではないでしょうか。個人的な経験では、SDGsに関心を持つ方の多くが「目標が多すぎて全体像がつかめない」という悩みを抱えています。
この記事では、SDGsの17目標を一つひとつわかりやすく解説するとともに、それぞれの目標がどのようにつながっているのかを「5つのP」というフレームワークで整理しています。
この記事で学べること
- SDGs17目標の正式名称と具体的な内容を一覧で把握できる
- 「5つのP」で17目標の関係性が明確に整理される
- 日本のSDGs達成度は世界163カ国中18位前後で推移している
- 目標ごとの世界の現状と日本が抱える課題の違いがわかる
- 個人や企業が今日から始められる具体的なアクションが見つかる
SDGsとは何か
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。
簡単に言えば、「地球上のすべての人が安心して暮らせる社会を、未来の世代のためにも守りながらつくっていこう」という国際的な目標です。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されており、2030年を達成期限としています。
SDGsの前身として、2000年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)がありました。MDGsは主に発展途上国の課題解決に焦点を当てていましたが、SDGsは先進国を含むすべての国が取り組むべき目標として設計されている点が大きな違いです。
17の目標には、さらに169のターゲット(具体的な達成基準)と232の指標(進捗を測る物差し)が設定されています。
「5つのP」で理解するSDGsの全体像
17の目標を個別に覚えようとすると混乱しがちです。そこで役立つのが「5つのP」という整理方法です。国連はSDGsの17目標を、5つのカテゴリーに分類しています。
この5つのPを頭に入れておくと、「この目標は人の暮らしに関するものだ」「これは地球環境の話だ」と直感的に分類でき、17目標の全体像がぐっとつかみやすくなります。
People(人間)に関する6つの目標
最初のカテゴリーは「People(人間)」です。すべての人が尊厳を持ち、健康で平等に暮らせる世界を目指す目標が含まれています。
目標1 貧困をなくそう
「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」ことを掲げた目標です。
世界では約7億人が1日2.15ドル(約320円)未満で生活する「極度の貧困」状態にあるとされています。しかし貧困は途上国だけの問題ではありません。日本でも相対的貧困率は約15.4%(厚生労働省調査)で、およそ6人に1人が貧困ラインを下回っています。
特にひとり親世帯の貧困率は約50%と深刻で、子どもの教育機会にも影響を及ぼしています。
目標2 飢餓をゼロに
「飢餓を終わらせ、食料安全保障と栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことが目標です。
世界の飢餓人口は約7億3,500万人に上ります。一方で、世界の食料生産量の約3分の1(年間約13億トン)が廃棄されているという矛盾があります。日本のフードロスは年間約523万トン(農林水産省推計)で、一人当たりに換算すると毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てている計算です。
目標3 すべての人に健康と福祉を
「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」ことを目指しています。
世界では毎年約500万人の5歳未満の子どもが命を落としており、その多くは予防可能な病気が原因です。日本は世界トップクラスの長寿国ですが、高齢化に伴う医療費の増大や、メンタルヘルスの問題が課題となっています。
目標4 質の高い教育をみんなに
「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」ことが目標です。
世界では約2億4,400万人の子どもが学校に通えていません。日本は教育へのアクセスという点では高い水準にありますが、教育の質やジェンダー平等、不登校の増加(2022年度は約29万人で過去最多)といった課題を抱えています。
目標5 ジェンダー平等を実現しよう
「ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを行う」ことを掲げています。
世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数2023」で、日本は146カ国中125位でした。特に政治参加と経済参加の分野でのスコアが低く、国会議員に占める女性の割合は約10%にとどまっています。
目標6 安全な水とトイレを世界中に
「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことが目標です。
世界では約22億人が安全に管理された飲料水を利用できず、約36億人が安全に管理された衛生施設(トイレ)を使えていません。日本は水資源に恵まれていますが、水道インフラの老朽化が進んでおり、全国の水道管の約20%が法定耐用年数を超えています。
Prosperity(繁栄)に関する5つの目標
2つ目のカテゴリーは「Prosperity(繁栄)」です。すべての人が豊かで充実した生活を送れるよう、経済・技術・インフラの発展を目指します。
目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ことが目標です。
世界では約6億7,500万人が電力にアクセスできていません。日本は再生可能エネルギーの導入を進めており、2022年度の電源構成に占める再エネ比率は約21.7%まで上昇しましたが、政府目標の2030年度36〜38%にはまだ距離があります。
目標8 働きがいも経済成長も
「包摂的かつ持続可能な経済成長と、すべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する」ことを掲げています。
世界では約1億6,000万人の子どもが児童労働に従事しています。日本では長時間労働や非正規雇用の待遇格差が課題で、働き方改革関連法の施行以降も過労死の問題は完全には解消されていません。
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
「強靭なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進、およびイノベーションの推進を図る」ことが目標です。
日本はインフラ整備の面では高い水準にありますが、高度経済成長期に建設されたインフラの老朽化が深刻です。2033年には道路橋の約63%、トンネルの約42%が建設後50年を超えるとされています。
目標10 人や国の不平等をなくそう
「各国内および各国間の不平等を是正する」ことを目指しています。
世界の上位1%の富裕層が全世界の富の約38%を保有しているとされ、格差は拡大傾向にあります。日本でも所得格差を示すジニ係数は上昇傾向にあり、世代間格差や地域間格差も課題です。
目標11 住み続けられるまちづくりを
「包摂的で安全かつ強靭で持続可能な都市および人間居住を実現する」ことが目標です。
2050年には世界人口の約68%が都市部に居住すると予測されています。日本では東京一極集中と地方の過疎化が同時に進行しており、2020年時点で「消滅可能性都市」とされる自治体は約半数に上ります。
Planet(地球)に関する3つの目標
3つ目のカテゴリーは「Planet(地球)」です。気候変動への対策や、海・陸の生態系保全など、地球環境を守るための目標が並びます。
目標13 気候変動に具体的な対策を
「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を講じる」ことを掲げています。
産業革命以降、地球の平均気温はすでに約1.1℃上昇しています。パリ協定では上昇を1.5℃以内に抑える努力目標が設定されましたが、現在のペースでは今世紀末に2.5〜2.9℃の上昇が見込まれています。日本は2050年カーボンニュートラルを宣言しており、気候変動対策は国内でも最重要課題の一つです。
目標14 海の豊かさを守ろう
「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことが目標です。
毎年約800万トンのプラスチックごみが海に流出しているとされ、2050年には海洋プラスチックの量が魚の量を上回るという予測もあります。日本は世界第6位の排他的経済水域を持つ海洋国家であり、海洋環境の保全は特に重要なテーマです。
目標15 陸の豊かさも守ろう
「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、土地の劣化の阻止・回復、生物多様性の損失を阻止する」ことを目指しています。
毎年約1,000万ヘクタール(日本の国土面積の約4分の1)の森林が失われています。日本は国土の約67%が森林に覆われていますが、管理放棄された人工林の増加や、生物多様性の低下が課題となっています。
地球環境の危機を示す数字
Peace(平和)に関する目標
目標16 平和と公正をすべての人に
「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」ことが目標です。
世界では紛争や暴力により約1億人以上が避難を余儀なくされています。日本は治安面では世界トップクラスの安全な国ですが、司法アクセスの平等性や、汚職防止の透明性、難民認定率の低さ(約1%未満)などが国際的に指摘されています。
Partnership(パートナーシップ)に関する目標
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを掲げています。
この目標は他の16の目標すべてを支える「土台」のような存在です。政府、企業、市民社会、国際機関が協力し合わなければ、どの目標も達成できません。日本のODA(政府開発援助)はGNI比で約0.39%であり、国連が目標とする0.7%には届いていない状況です。
SDGs17目標の一覧表
全体像をすばやく把握できるよう、17目標を一覧にまとめました。
| 番号 | 目標名 | カテゴリー | キーワード |
|---|---|---|---|
| 1 | 貧困をなくそう | People | 極度の貧困・社会保障 |
| 2 | 飢餓をゼロに | People | 食料安全保障・持続可能な農業 |
| 3 | すべての人に健康と福祉を | People | 予防医療・母子保健 |
| 4 | 質の高い教育をみんなに | People | 包摂的教育・生涯学習 |
| 5 | ジェンダー平等を実現しよう | People | 女性のエンパワーメント |
| 6 | 安全な水とトイレを世界中に | People | 水資源管理・衛生施設 |
| 7 | エネルギーをみんなにそしてクリーンに | Prosperity | 再生可能エネルギー |
| 8 | 働きがいも経済成長も | Prosperity | ディーセントワーク・経済成長 |
| 9 | 産業と技術革新の基盤をつくろう | Prosperity | インフラ・イノベーション |
| 10 | 人や国の不平等をなくそう | Prosperity | 所得格差・社会的包摂 |
| 11 | 住み続けられるまちづくりを | Prosperity | 持続可能な都市・防災 |
| 12 | つくる責任つかう責任 | Planet | 持続可能な消費と生産 |
| 13 | 気候変動に具体的な対策を | Planet | 温室効果ガス削減・適応策 |
| 14 | 海の豊かさを守ろう | Planet | 海洋資源・海洋汚染防止 |
| 15 | 陸の豊かさも守ろう | Planet | 森林保全・生物多様性 |
| 16 | 平和と公正をすべての人に | Peace | 法の支配・透明性 |
| 17 | パートナーシップで目標を達成しよう | Partnership | 国際協力・官民連携 |
なお、目標12「つくる責任つかう責任」は、5つのPの分類では「Planet」と「Prosperity」の両方にまたがる性質を持っています。リデュースの考え方とも深く関連し、持続可能な消費・生産パターンの確保を目指すものです。
日本のSDGs達成状況
では、日本はSDGsの達成にどこまで近づいているのでしょうか。
持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が毎年発表する「SDGsインデックス」によると、日本のSDGs達成度は163カ国中18位前後で推移しています。
日本が比較的高い評価を受けている目標は、目標4(教育)、目標9(産業・技術革新)、目標16(平和と公正)です。一方で、目標5(ジェンダー平等)、目標13(気候変動)、目標14(海の豊かさ)、目標15(陸の豊かさ)については「大きな課題が残る」と評価されています。
私たちにできるSDGsへの取り組み
SDGsは国や企業だけの課題ではありません。個人レベルでも、日常生活の中で貢献できることがたくさんあります。
日常生活でできること
最も手軽に始められるのは、「つくる責任つかう責任」(目標12)に関連する消費行動の見直しです。
具体的には、食品ロスの削減(買い物前に冷蔵庫を確認する、使い切れる量だけ購入する)、マイバッグ・マイボトルの持参、省エネ家電への切り替え、フェアトレード商品の選択などが挙げられます。
環境を守る取り組みは、特別な努力を必要とするものばかりではありません。毎日の小さな選択の積み重ねが、大きな変化につながります。
企業や組織でできること
企業にとってSDGsへの取り組みは、社会的責任の遂行だけでなく、ビジネスチャンスでもあります。
SDGsに関連する市場規模は、2030年までに年間約12兆ドルの経済価値と約3億8,000万人の雇用を創出する可能性があるとされています(ビジネス&持続可能開発委員会の報告書より)。
サプライチェーンの見直し、ダイバーシティの推進、カーボンニュートラルへの移行計画策定など、経営戦略にSDGsを組み込む企業は年々増加しています。
学びを深めるために
SDGsについてさらに理解を深めたい場合は、以下のステップがおすすめです。
関心のある目標を選ぶ
17目標すべてを一度に取り組む必要はありません。自分の仕事や生活に近い目標から始めましょう。
現状を知る
国連や外務省のSDGsページ、各種報告書で最新データを確認し、課題の深刻さを実感しましょう。
小さな行動を始める
完璧を目指す必要はありません。一つの行動を継続することが、最も確実な貢献方法です。
よくある質問
SDGsとMDGsの違いは何ですか
MDGs(ミレニアム開発目標)は2000年に策定され、主に発展途上国の貧困削減に焦点を当てた8つの目標でした。SDGsは2015年に採択され、先進国を含むすべての国が対象となる17の目標で構成されています。対象範囲が大幅に拡大し、環境・経済・社会の3側面を統合的に扱う点が大きな違いです。
SDGsに法的拘束力はありますか
SDGsには法的拘束力はありません。各国が自主的に取り組む「努力目標」という位置づけです。ただし、国際的な評価や企業の投資判断(ESG投資)に影響するため、実質的には各国・各企業に強い行動を促す効果があります。日本政府もSDGs推進本部を設置し、実施指針を策定しています。
169のターゲットとは何ですか
17の目標それぞれに、より具体的な達成基準として設定されたのが169のターゲットです。たとえば目標1「貧困をなくそう」には、「2030年までに、1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」といった具体的なターゲットが設定されています。さらに、進捗を測定するための232の指標(インディケーター)も定められています。
日本企業のSDGsへの取り組み状況はどうなっていますか
経団連の調査によると、大企業の約90%以上がSDGsを経営に取り入れていると回答しています。一方で、中小企業の認知度・取り組み率はまだ低い傾向にあります。具体的な取り組みとしては、カーボンニュートラル宣言、サプライチェーンの人権デューデリジェンス、ダイバーシティ推進などが代表的です。
2030年までにSDGsは達成できるのでしょうか
国連の中間レビュー(2023年)によると、169のターゲットのうち順調に進んでいるのは約15%にとどまり、約半数は進捗が不十分、約30%は停滞または後退しているとされています。2030年の完全達成は極めて困難な状況ですが、だからこそ残りの期間での加速が求められています。SDGsは「完璧な達成」だけが意味を持つのではなく、取り組みのプロセス自体が社会を変える力を持っています。
SDGsの17目標は、一見すると壮大で遠い話に感じるかもしれません。しかし、一つひとつの目標を紐解いていくと、私たちの日常生活と深くつながっていることがわかります。
大切なのは、すべてを一度に解決しようとするのではなく、自分にできることから始めること。この記事が、SDGsを「知っている」から「理解している」へ、そして「行動している」へと進むきっかけになれば幸いです。