環境サイトアイコン Team 6
SDGs

sdgs 働きがいも経済成長も(目標8)

「働きがいも経済成長も」という言葉を聞いても、具体的に何を目指しているのか、自分や会社にどう関係するのかがピンとこない方は少なくありません。SDGsの17ある目標のなかでも、目標8は私たちの「働き方」や「暮らし」に直接つながる、身近で実践しやすいテーマです。

これまで企業のサステナビリティ関連の情報整理に携わってきた経験から感じるのは、目標8は「経済成長」と「人間らしい働き方」という、一見すると相反する二つを同時に追求する点に本質があるということです。この記事では、その意味・背景から、世界と日本の現状、12のターゲット、企業や個人ができる取り組みまでを一つにまとめて解説します。

この記事で学べること

  • 目標8の正式名称は「働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)」の促進である。
  • 目標8には12のターゲットがあり、経済成長と人権保護の両立を目指している。
  • 「ディーセント・ワーク」とは働きがいのある人間らしい仕事を意味する中心概念である。
  • 児童労働や強制労働の撲滅も、目標8が掲げる重要なターゲットである。
  • 個人でも消費行動やキャリア選択を通じて目標8に貢献できる。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは何か

目標8の正式名称は、少し長いですが次のように定められています。

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

国際連合 SDGs目標8

この長い正式名称を短くまとめたキャッチコピーが、日本で広く使われている「働きがいも 経済成長も」です。

ここで鍵になるのがディーセント・ワークという言葉です。これは「働きがいのある人間らしい仕事」という意味で、国際労働機関(ILO)が提唱した概念です。簡単に言えば、公正な賃金が支払われ、安全な環境で、差別や不当な扱いを受けずに働ける仕事のことを指します。

目標8は「経済を成長させること」と「人間らしく働けること」を同時に実現しようとしている点が特徴です。

経済がどれだけ成長しても、その裏で低賃金や長時間労働、児童労働が横行していては意味がありません。逆に、働く人を守るあまり経済が停滞しても持続可能とは言えません。この両立こそが目標8の核心です。

世界と日本が抱える働き方の現状

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは何か - sdgs 働きがいも経済成長も(目標8)
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは何か – sdgs 働きがいも経済成長も(目標8)

目標8が必要とされる背景には、世界と日本それぞれの課題があります。

世界が直面する課題

世界には、働いていても貧困から抜け出せない「働く貧困層(ワーキングプア)」が数多く存在します。また、教育を受けるべき年齢でありながら労働を強いられる児童労働の問題も、いまだ根深く残っています。

失業率の高さ、非正規雇用の不安定さ、強制労働や人身取引といった深刻な人権侵害も、目標8が解決を目指す対象です。

日本が抱える課題

日本は経済的には豊かな国とされますが、目標8に関する課題は決して少なくありません。

長時間労働や過労死、非正規雇用と正規雇用の待遇格差、男女間の賃金差などは、日本特有の根深い問題として指摘され続けています。

個人的に企業の情報を整理していて強く感じるのは、日本の課題は「雇用がない」ことよりも「働き方の質」にあるという点です。仕事はあっても、その中身が「人間らしい働き方」になっているかが問われているのです。

目標8の12のターゲットをわかりやすく整理

世界と日本が抱える働き方の現状 - sdgs 働きがいも経済成長も(目標8)
世界と日本が抱える働き方の現状 – sdgs 働きがいも経済成長も(目標8)

目標8には、具体的な達成目標として12のターゲットが設定されています。数字だけ見ると複雑ですが、大きく分けると理解しやすくなります。

1

経済成長の実現

各国の状況に応じた持続的な経済成長を維持する

2

雇用の確保

若者や障害者を含む完全雇用と同一労働同一賃金を実現する

3

権利の保護

児童労働や強制労働を撲滅し、労働者の権利を守る

主なターゲットの内容を整理すると、次のようになります。

  • 持続的な経済成長(後発開発途上国では年7%の成長率を目指す)
  • 生産性の向上(技術革新やイノベーションによる高付加価値化)
  • 完全雇用とディーセント・ワーク(すべての人に働きがいのある仕事を)
  • 若者の雇用促進(就労も就学もしていない若者を減らす)
  • 強制労働と児童労働の撲滅(2025年までに児童労働をなくす)
  • 安全な労働環境の確保(すべての労働者の権利を保護する)
  • 持続可能な観光業の推進(地方の雇用と文化を守る)
⚠️
よくある誤解
目標8は「経済成長だけ」を目指す目標だと思われがちですが、実際は環境への配慮や人権保護と両立させながら成長することを求めています。成長の「中身」と「質」が重視されている点に注意が必要です。

企業や自治体の具体的な取り組み事例

目標8の12のターゲットをわかりやすく整理 - sdgs 働きがいも経済成長も(目標8)
目標8の12のターゲットをわかりやすく整理 – sdgs 働きがいも経済成長も(目標8)

目標8は、企業のサステナビリティ活動やCSRのなかでも取り組みやすいテーマです。

企業による働き方改革

多くの企業が、テレワークやフレックスタイム制度の導入、有給休暇の取得促進などを通じて「働きがい」の向上に取り組んでいます。

また、女性管理職の登用、障害者雇用の拡大、外国人労働者への公正な待遇なども、目標8に直結する重要な施策です。

サプライチェーンの人権配慮

自社だけでなく、原材料の調達先や取引先まで含めて、児童労働や強制労働が行われていないかを確認する動きが広がっています。

💡 実体験から学んだこと
企業のサステナビリティレポートを整理していると、目標8を掲げる企業ほど「従業員エンゲージメント調査」の数値を公開している傾向があります。働きがいを数字で見える化することが、取り組みの第一歩になっていると実感しました。

自治体や地域の取り組み

地方自治体では、地元産業の振興や観光業の活性化を通じて、地域に雇用を生み出す取り組みが進んでいます。UターンやIターンの支援も、地域経済の成長と働きがいの両立につながります。

個人ができる目標8への貢献

「大きな目標だから自分には関係ない」と思われるかもしれませんが、個人にもできることはたくさんあります。

今日から始められるアクション




日々の消費行動は、実は大きな力を持っています。児童労働や不当な労働で作られた安い商品ではなく、働く人が正当に報われる製品を選ぶことが、目標8への確かな貢献になります。

こうした考え方は、SDGsで私たちにできることの全体像を知ることで、より実践しやすくなります。また、貧困問題と密接に関わる貧困をなくそう(SDGs目標1の現状と取り組み)や、待遇格差につながるジェンダー平等を実現しよう(SDGs目標5)とあわせて理解すると、目標8の位置づけがより明確になります。

目標8の課題と今後の方向性

目標8の達成には、まだ多くの課題が残されています。

経済成長と環境保護の両立は、口で言うほど簡単ではありません。成長を追い求めるあまり資源を使いすぎれば、他の環境目標と衝突してしまいます。

これからの時代に求められるのは「量的な成長」ではなく「質的な成長」です。

技術革新によって少ない資源で高い価値を生み出し、同時に働く人の幸福も高めていく。この難しいバランスをどう取るかが、これからの大きなテーマになっていくでしょう。

日本と世界の進捗については、SDGs達成度(日本と世界のランキング)を確認すると、現在地を客観的に把握できます。

よくある質問

目標8のキャッチコピー「働きがいも経済成長も」の意味は何ですか

働く人が人間らしく働ける環境(働きがい)と、持続的な経済の発展(経済成長)を、どちらも同時に実現しようという意味です。片方だけでなく両立させる点が重要とされています。

ディーセント・ワークとは具体的にどのような仕事ですか

公正な賃金が支払われ、安全な環境で、差別を受けずに働ける仕事のことです。ILO(国際労働機関)が提唱した「働きがいのある人間らしい仕事」を意味する概念です。

目標8にはいくつのターゲットがありますか

12のターゲットが設定されています。経済成長、完全雇用、児童労働の撲滅、安全な労働環境の確保など、具体的な達成目標が定められています。

中小企業でも目標8に取り組めますか

十分に取り組めます。有給休暇の取得促進や労働環境の改善、公正な賃金の支払いなど、規模に関わらず実践できる施策が多くあります。従業員の働きがいを高めることが第一歩です。

個人が目標8に貢献する一番簡単な方法は何ですか

日々の買い物で、働く人が正当に報われている企業やフェアトレード商品を選ぶことです。また、自分自身が無理のない持続可能な働き方を意識することも立派な貢献になります。

まとめ

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」は、経済の発展と人間らしい働き方という、二つの大切な価値を同時に追求する目標です。

世界には児童労働や強制労働、日本には長時間労働や待遇格差といった、それぞれの課題が残されています。だからこそ、成長の「質」を問い直すことが求められています。

まずは、自分の働き方を見つめ直したり、消費行動を少し工夫したりするところから始めてみてはいかがでしょうか。一人ひとりの小さな選択が、働きがいのある社会への確かな一歩になっていくはずです。