sdgs 人や国の不平等をなくそう(目標10)

「人や国の不平等をなくそう」という言葉を聞くと、どこか遠い国の話のように感じるかもしれません。ですが、日本国内に目を向けても、所得の格差や子どもの貧困、ジェンダーの問題など、身近なところに不平等は存在しています。
SDGs(持続可能な開発目標)の目標10は、まさにこうした「不平等」を国内でも国家間でも減らしていこうという目標です。個人的にSDGs関連の資料に携わってきた中で感じるのは、目標10は特に「自分ごと」として捉えにくいテーマだということです。
そこでこの記事では、目標10の意味やターゲット、世界と日本の現状、そして私たちにできることまでを、できるだけわかりやすく整理してお伝えします。
この記事で学べること
- 目標10は「国内および国家間の不平等を減らす」ことを目指した10個のターゲットで構成されている。
- 日本はSDGsの中でも目標10の評価が特に低く、所得格差やジェンダーギャップが大きな課題。
- 不平等は貧困や犯罪、社会の不安定さの温床となり、経済発展そのものを妨げる。
- 企業や自治体だけでなく、個人の消費行動や意識でも不平等の是正に貢献できる。
- フェアトレード商品を選ぶなど、今日から始められる具体的な行動がある。
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは
目標10の正式な目的は、「各国内及び各国間の不平等を是正する」ことです。英語では「Reduce inequality within and among countries」と表現されます。
ポイントは2つの視点があることです。
ひとつは「国内の不平等」。同じ国の中でも、所得や性別、障害の有無などによって、受けられる機会に差が生まれています。
もうひとつは「国家間の不平等」。豊かな国と発展途上の国との間には、大きな経済的・社会的な格差が存在します。
この両方を同時に減らしていこう、というのが目標10の考え方です。
なぜ不平等が問題なのか

「格差があること自体、そんなに悪いことなの?」と感じる方もいるかもしれません。ですが、不平等が放置されると、社会全体に深刻な影響が及びます。
不平等は長期的な社会・経済発展を脅かし、貧困削減を妨げ、人々の達成感や自尊心を損なう。さらに犯罪・疾病・環境破壊の温床にもなりうる。
生まれた国、人種、民族、宗教、性別、障害の有無、性的指向。これらは本人の努力や責任とは無関係な属性です。にもかかわらず、こうした属性を理由に不利益を被る人が、世界中に数多く存在しています。
不平等を減らすことは、単なる「弱者救済」ではありません。社会全体を安定させ、持続的に発展させるための基盤づくりなのです。
目標10の10個のターゲット

目標10は、より具体的な10個のターゲット(10.1〜10.7、および10.a〜10.c)で構成されています。少し専門的な表現になりますが、わかりやすく整理してみます。
成果を示す7つのターゲット(10.1〜10.7)
- 10.1 各国の下位40%の所得を、国全体の平均より速いペースで増やしていく。
- 10.2 年齢・性別・障害・人種・民族などに関係なく、すべての人の社会参加を促進する。
- 10.3 差別的な法律や慣行をなくし、機会の均等を確保する。
- 10.4 財政・賃金・社会保障の政策を通じて、平等をより実現していく。
- 10.5 世界の金融市場や金融機関の規制・監視を改善する。
- 10.6 国際的な意思決定の場で、途上国の発言力を高める。
- 10.7 計画的で安全な移住・移動を実現する政策を進める。
実現手段を示す3つのターゲット(10.a〜10.c)
- 10.a 途上国に対する「特別かつ異なる待遇」の原則を実施する。
- 10.b 最も支援を必要とする国々への政府開発援助(ODA)や投資を促進する。
- 10.c 移住労働者の送金にかかるコストを3%未満に引き下げる。
数字だけ見ると難しく感じますが、要は「所得の底上げ」「差別の解消」「国際的な支援と発言力の確保」という3つの柱でできていると考えると理解しやすいと思います。
世界と日本に存在する不平等の現状

では、実際にどのような不平等があるのでしょうか。世界と日本、それぞれの視点から見ていきましょう。
世界に広がる格差
世界では、所得格差が依然として大きな課題です。豊かな一部の人々に富が集中する一方で、生活に必要な最低限の収入すら得られない人々が数多く存在します。
また、女性であること、障害があること、移民や少数民族であることを理由にした差別も、世界各地で根強く残っています。
日本が抱える課題
意外に思われるかもしれませんが、日本はSDGsの中でも目標10の評価が特に低い分野です。
主な課題として挙げられるのが、次のような点です。
ジェンダーの問題は目標10と深く関わっており、ジェンダー平等を実現しようというSDGs目標5とあわせて考えることで、より立体的に理解できます。
不平等をなくすための取り組み事例
目標10の達成に向けて、企業や自治体、そして個人がそれぞれの立場でできることがあります。
企業の取り組み
企業では、雇用や評価制度の見直しが進んでいます。性別や国籍にかかわらず公平に評価される仕組みづくりや、女性が活躍できる環境の整備がその一例です。
また、途上国の生産者に適正な価格を支払うフェアトレードの取り組みも、国家間の不平等を減らす具体的な行動として広がっています。
自治体やNPOの取り組み
自治体では、外国人住民への多言語支援や、生活困窮世帯への支援制度が整備されています。NPOによる子ども食堂なども、地域レベルで不平等を和らげる大切な活動です。
個人にできること
フェアトレード商品を選ぶ
買い物のとき、認証マークのある商品を選ぶだけで途上国の生産者を支えられます。
正しい知識を持つ
偏見や差別は「知らないこと」から生まれます。まず知ることが第一歩です。
寄付や支援に参加する
信頼できる団体への寄付や、地域の支援活動への参加もできる行動のひとつです。
小さな行動に思えても、多くの人が積み重ねることで大きな変化につながります。SDGs達成のために私たちにできることを意識してみると、日常の選択が少し変わってくるはずです。
他の目標とのつながり
目標10は、他のSDGs目標と密接に関係しています。
たとえば貧困の問題は、貧困をなくそうというSDGs目標1と直結しています。また、教育の機会の不平等は、質の高い教育をみんなにという目標4と切り離せません。
日本や世界のSDGsの進み具合は、SDGs達成度のランキングを見ると全体像がつかめます。目標10だけでなく、17の目標がつながり合っていることを意識すると理解が深まります。
よくある質問
目標10と目標1(貧困)はどう違うのですか
目標1は「絶対的な貧困」をなくすことに焦点を当てています。一方、目標10は「格差そのもの」を減らすことがテーマです。たとえ貧困がなくなっても、大きな格差が残ることはあるため、両者は別々の目標として設定されています。
なぜ日本は目標10の評価が低いのですか
主な理由は、所得格差の拡大やジェンダーギャップの大きさ、子どもの貧困率の高さなどです。特に男女間の賃金差や女性管理職の少なさは、国際的に見ても改善が遅れている分野とされています。
個人が取り組んでも意味があるのでしょうか
正直なところ、一人の力で世界の不平等がすぐに変わるわけではありません。ですが、フェアトレード商品を選ぶ人が増えれば市場が動きますし、差別への意識が広がれば社会の空気も変わります。小さな積み重ねには確かな意味があります。
子どものレポートや自由研究に使いやすいテーマはありますか
身近な「子どもの貧困」や「男女の格差」がおすすめです。統計データも比較的入手しやすく、自分の生活とも結びつけて考えやすいテーマです。ターゲット10.2や10.3を軸にまとめると、わかりやすい構成になります。
企業はまず何から始めればよいですか
まずは自社の雇用・評価制度に不公平な部分がないかを見直すことからが現実的です。性別や国籍による差がないか、育児や介護と両立しやすい環境か。こうした足元の点検が、無理なく始められる第一歩になります。
まとめ
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」は、国内と国家間、両方の不平等を減らしていく目標です。所得格差やジェンダー、差別といった課題は、決して遠い国だけの話ではなく、日本社会にも根強く存在しています。
大切なのは、まず「知ること」。そして買い物や寄付など、身近な行動を通じて自分にできることを見つけていくことです。
すべてを一度に変えることはできませんが、一人ひとりの意識と行動が、より公平な社会への確かな一歩になっていくと信じています。