イベントレポート
食を通じて“低炭素社会”を楽しく学ぼう!
トークイベント「旬な食材で低炭素社会を考える」が開催されました
2009年6月24日(水)
株式会社サンケイリビング新聞社
チーム員であるサンケイリビング新聞社が発行するシティリビングは6月19日(金)、東京・新丸の内ビルディングのエコッツェリアにて、トークイベント「旬な食材で低炭素社会を考える」を開催しました。
このイベントは、旬の食材を使った軽食や飲み物を楽しみながら、「低炭素社会」について分かりやすく勉強し、理解を深めようという趣旨で催されたものです。国立環境研究所の藤野純一さんが、ニッポン放送アナウンサー 新保友映さんとともに、3人のゲストからお話を伺いつつ、参加者と一緒に低炭素社会づくりについて考えていくという形で進められました。
まず、農作物の生産者を代表して、風の丘ファーム(埼玉県比企郡)の田下隆一さんが、自ら取り組んでいる農法のこだわりについて述べました。風の丘ファームでは、農薬や化学肥料を使わず、有畜複合の循環農業を営んでいます。畑で野菜を作り、収穫物が余れば家畜の飼料とし、発酵したものは堆肥として使います。さらに家畜の糞尿、野菜くずなどを発酵・分解させて発生したガスを家庭用燃料として利用するバイオガス技術を使い、循環利用だけでなく、エネルギーの自給も目指しているとのことです。
このような循環型農業について、藤野さんは「太陽の恵みをふんだんに使い、無駄なエネルギーを使わず、自然にあるものを使うのが低炭素につながりますね」とコメント。田下さんからは、消費者である参加者の皆さんに向けて、「野菜は、住んでいるところからなるべく近いところで生産された旬のものを、収穫後なるべく早く食べると、おいしいですよ」と、低炭素について考えると、結果的においしいものが食べられることがわかりやすく説明されました。また、意識して近場の野菜を食べることは、日本の食料自給率アップにもつながります。
続いてのゲストは、新丸の内ビルディングの蒸し料理レストラン「musmus」を経営するテーブルビートの佐藤としひろさん。佐藤さんは生産者とは必ず会って対話し、生産現場にも立ち会うそうです。こうして選んだ生産者の作る野菜は、しっかりとしたエネルギーを持っており、それほど料理に手を加えることなくおいしく食べられるとのこと。調味料も味噌、醤油などを少し使うだけでよく、「ハウス栽培でない旬の野菜をきちんと食べることで、体が浄化される」との言葉に、うなずく参加者もいました。藤野さんは「良いものを残さずに食べることは、健康にもいいし、それが自然に低炭素につながるのですね」とコメントしました。
そして、実際に「musmus」の協力のもと、野菜が出され、参加者はそれを食べながら「力強い野菜」「味の濃い野菜」を堪能していました。野菜は、風の丘ファームで作られたものも含め、かぶ、ラディッシュ、じゃがいも、大根、ズッキーニ、赤玉ねぎなどが、そのまま生で、あるいは蒸すだけで出されました。これらの野菜に味噌や塩、しょっつる(はたはたと塩のみで作られた調味料)などをつけ、葉っぱまで食べながら、参加者は「土の香りがする。こんなにおいしいズッキーニは初めて」「ギュッと凝縮されている味ですね」とエネルギーに満ちた野菜をおいしそうにほおばっていました。
続いて、有機の酒造りに取り組む、月の井酒造店(茨城県東茨城郡)の坂本敬子さんが登壇。原材料に有機米を使用するだけでなく、製造工程にまで有機認定をされた酒は少なく、酒蔵の隅々にまで気を配った酒造りをしているそうです。また、酒造りの工程で、通常であれば処分してしまう米ぬかも家畜のえさや肥料として使ったり、米粉のクッキーや米ぬか入りアイスクリームにしたり、もみ殻をラベルのデザインにすきこんだりといった工夫で、省資源やゴミの削減にも取り組んでいます。これらの取組は、「ていねいに作ったお酒を、ほんの少しでも捨てたくない。大事にしたい」という思いから実践しているとのことです。藤野さんは「大事にする心こそが低炭素につながるのですね」とコメント。坂本さんは、参加者に「おいしいと思ったものは、ぜひ生産地まで足を運び、その生産現場を見てください。おいしさの理由がわかるはずです」と話しました。
参加者には、月の井酒造店で作られたオーガニック米特別純米酒が振舞われ、参加者は野菜と共に味わいながら、その旨みに舌鼓を打っていました。藤野さんは「よいものを作ると、それなりに価格が高くなりますが、それを買うことで生産者ももっとよいものを作ることができる。よい野菜を食べたり、よいお酒を呑みながらおしゃべりを楽しむといった、豊かな暮らしを大切にしながら、エネルギーの利用量を少なくしていくことが大切」と、参加者に語りかけました。
その後、3人のゲストを交えたトークに入り、田下さんは「野菜は、気候や周りの環境とのコミュニケーションによって、良し悪しが決定されていきます。われわれ人間も生産者、店、消費者がお互いにやり取りをすることで、もっといいものを作って、食べて、豊かな生活をしていくと、結果的に低炭素につながりますね」と語れば、農業体験をしたことのある参加者からは、「自分で作ったものを食べるときは、おいしさも違う。自分で作ってみることも必要ですね」といった意見も出されました。
最後に、藤野さんが「ゲストの皆さんは、自分たちの取組に自信を持っていらっしゃるところが素晴らしいと思います。このような旬な食材を旬なうちに消費者に届ける取組を続けている農家やお店をサポートしていくことで、安全で豊かな食生活を送れることができ、それが自然と低炭素社会につながっていきます。本当に良いものを見つけて応援する流れを広めていきましょう」と呼びかけると、新保さんも「今日の話をぜひいろいろなところで広めて、社会全体を低炭素社会に変えていきましょう」と参加者に訴え、イベントを締めくくりました。
また、チーム員である三菱地所の「空と土プロジェクト」事務局の寺坂琴美さんより、都市と農山村との交流を図るために様々な体験ツアーなどを企画・運営しているプロジェクトの活動内容も紹介されました。
■ 協力機関・企業・店舗等
国立環境研究所
Suono Dolce by ニッポン放送
風の丘ファーム
蒸し料理レストラン musmus(ムスムス)
月の井酒造店
空と土プロジェクト
ニッポン放送アナウンサーの新保友映さんと国立環境研究所の藤野純一さん。トークイベントには80名ほどの女性が参加しました
風の丘ファームの田下隆一さん、テーブルビート(musmus)の佐藤としひろさん、月の井酒造店の坂本敬子さん
エネルギーに満ちた旬の野菜。葉も皮も根もすべておいしく食べられます
有機認定を受けたオーガニック米特別純米酒も振舞われました
「空と土プロジェクト」事務局の寺坂琴美さん
「低炭素社会とは何か」「低炭素社会に向けた12の方策」のパネルを展示


