僕は環境問題を考える際、できるだけシンプルに捉えるようにしています。子ども時代の体験が、そうさせているのかもしれませんが、そのなかに問題解決のヒントがたくさん隠されているような気がするのです。
僕が子どものころは、実家のすぐ近くに豆腐屋があって、そこに毎朝豆腐を買いに行きました。そして、豆腐と一緒におからをもらってくるのですが、そのおからで今度は家の廊下を拭くわけです。いわゆる循環型の生活習慣ですよね。僕は、日本人は究極のリサイクリストだと思っていますが、いつからこういう社会になってしまったのかなぁって思うんです。経済が成長した結果、物事の価値基準はここ半世紀のうちに大きく変わってしまいました。便利や利益を追求するあまり、僕たちは大切なものを失ってしまったのかもしれません。でも、今さら昔に戻れと言われても難しい。だから、自分にできる最低限のことをやればいいんじゃないかと、僕は思うようにしています。
現在住んでいる湘南あたりには、土地柄、身近なところで取り組めることや、地域に根づいた独自の文化が多くあります。地産地消はCO2排出削減の大原則だといえますが、このあたりなら地魚とか鎌倉野菜とか、地元の食材が豊富です。特に地魚は季節ごとになんでも揃うんじゃないかな。春ならメバルとか、あと鰹とか。それに佐島や小坪ではうまいタコも獲れる。そういう食文化を共有できる地域のつながりも湘南にはあると思います。
また、葉山のほうだと観光客も少ないので、海なんかは子どもを遊ばせるには最高の場所。そういうなかで、親子の関係とか、地域の横のつながりとか、物を大切にする心とか、日本人が本来持っている感覚を取り戻せたらいいなと思いますね。便利や贅沢を求めるよりも、まずは身の回りにある豊かな恵みに気づくこと。本当の意味での低炭素社会への取り組みとは、そうした意識や価値観のなかにあるのではないでしょうか。
横山 泰介
1948年10月東京生まれ。鎌倉市在住。大学時代に撮影した稲村ガ崎の波の写真がきっかで写真家へ。以降、サーファーのポートレートを中心に作品を発表し続けている。自身もサーファーで、素顔のサーファーを見てもらいたいと、写真集『surfers』(マリン企画・刊)を出版。ほかにもミュージシャンやハリウッドスターまで、数多くの有名人を撮影してきた。風刺漫画家の横山泰三氏を父に、「フクちゃん」で知られる漫画家の横山隆一氏を叔父にもつ。
※なお、湘南スタイルVol.37では、横山泰介さんが低炭素社会実現のヒントをご紹介しています。
