私が考える2050年の低炭素社会のイメージは、私たちが、お金や出世がすべてという価値観を脱し、多様な幸せの形を享受できる社会になることです。これまで日本の男性は、深夜まで煌々としたオフィスで遅くまで仕事をするのが当たり前のようなところがありましたよね。これからは、逆に当たり前のこととして 5時に仕事を終え、ゆっくりと家族で鍋を囲んだりして人生を楽しめるような社会になってほしい。直接的には結びつかないかもしれませんが、経済発展だけが最優先でない、そういう暮らし方や価値観の変化こそ、来るべき低炭素社会にはよくなじむのではないでしょうか。

また、東京一極集中によりヒートアイランド化などさまざまな問題が浮かび上がっていますが、これからは地方の豊かさが再発見される時代になると思います。情報化が進むことで、東京にいなければ仕事にならないということも減るでしょう。そういう面でも、ライフスタイルの多様化が進むことを期待しています。

周囲を見渡しても、ワーク・ライフ・バランスの上手なとり方という点では、やはり女性の方がリードしているようですね。これは結婚・出産を機に、自分自身や自分達のライフスタイル、子供の未来について真剣に考えることが関係しているはずです。男性も、この世界で生きていくことに本当に何が大切なのか真剣に考えれば、「出世より家族との時間を大切にしたい」など、さまざまな選択肢が出るのでは?

CREAでは毎年一回「母になる」という特集を組んでいます。ここ1、2年、そこに父親向けの子育ての記事を掲載すると、男性から大きな反響があるんですよ。実は、私たちが考える以上に、若い世代の意識は急速に変わりつつあるのかもしれませんね。

いのうえ けいこ

1969年京都市生まれ。東京大学文学部社会心理学科卒、1991年文藝春秋入社。「文藝春秋」編集部、「週刊文春」編集部を経て、1997年より「CREA」編集部在籍。美容担当デスクや旅担当デスクを経て、2005年より現職。「欲張り女が美しい!」をキーワードに、自己実現や社会貢献などにも意欲的な知的な女性読者を対象とした雑誌づくりを目指している。
※※なお、クレアでは2009年4月号において低炭素社会を特集しています。

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