フィックス・イット・シェア(アメリカ合衆国/ポートランド)
市民による住みやすい環境づくりと省エネ生活
フィックス・イット・フェアの模様
アメリカのポートランド市では、市民が住みやすい環境に配慮してエネルギー消費の少ない生活スタイルに変えていくことを目的とし、市民に問題解決の方法を示唆したり、必要な情報へのアクセスを助けたりするためのフェアである「フィックス・イット・フェア」の開催を、市の関係部署や機関をはじめ、多くの市民団体との協力を得て行っています。
1987年から始まったこのフェアは当初、低所得者層を対象にして省エネによる家計の出費を抑えるための教育啓発事業として開催されていましたが、次第に対象を一般市民に広げ、広い分野を取り扱うようになりました。参加団体は水道局や持続可能な発展事務所などの市の関係部署、オレゴン州環境局、電力会社、公募したNPO/NGO等、合計で30から40にのぼります。1回のフェアの来訪者は通常400~500人、多い時は1,000人を超えるため、参加団体にとっては市民の意見を直接聞くことができる絶好の機会となります。
フェアは展示やワークショップ等から構成されていて、内容は光熱費・上下水道費を削減方法や、換気やカビ、鉛中毒対策、住宅ローン返済の方法など、省エネ重視というよりは、市民の生活に密着したテーマが多く、それぞれを実践することで結果としてエネルギー消費の少ない生活スタイルに変わっていくようなテーマが目立ちます。そしてフェアでは、テーマの選定に加えて、無料のコーヒー・紅茶・ホットドッグの提供やアンケート回答による環境関連グッズの抽選提供、幼児の無料一時預かりの実施等の工夫を凝らし、参加者に対してインセンティブを提供し、集客につなげています。
NPO「コミュニティ・エナジー・プロジェクト」
コミュニティ・エナジー・プロジェクトは、1979年設立のフィックス・イット・フェア参加NPOで、様々な無料のワークショップを開催し、無料の省エネ器具を配布するといった活動を行っています。
年間1,500人が参加する断熱についてのワークショップや、年間700人以上が参加する節水に関するワークショップ、年間1,500人が参加する鉛中毒を防ぐワークショップなど、いずれも無料で開催されます。更に、ワークショップでは、150ドル相当の断熱器具や35ドル相当の節水器具、鉛含有チェックキットといったそれぞれのテーマに沿った省エネ器具等を無料で配布しています。
その他にも毎年、高年齢の低所得者や身体障害者の約200世帯に対して、ボランティアが断熱器具の設置や外気を防ぐ対策を施したり、節約や省エネの方法を教えたりする活動も行っています。
同NPOの資金は、ポートランド市住宅・コミュニティー局やポートランド市水道局、ポートランド市持続可能な発展事務所といった開催されるワークショップに関連する諸団体の援助の他、寄付金等で賄われており、年間5,000時間の奉仕を行うボランティアの協力によって支えられています。

