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ピーターラビットとおんだんかのおはなし
> インタビュー 河野芳英
大東文化大学・英米文学科教授。イギリスのオックスフォード大学で一年間、長期研修を行ったのがきっかけとなり、本格的にピーターラビットの研究を始める。ビアトリクス・ポター™研究の第一人者。
河野:
1999年から2000年にかけて、イギリスのオックスフォード大学で一年間、長期研修を行ったのが最初のきっかけでした。私は当時から20世紀に書かれた英文学を専門にしていたこともあり、当然ピーターラビットについても少しは興味を持っていたんですね。ところが、イギリスの湖水地方を訪れた際、あまりの日本人観光客の多さに驚き、私が想像する以上にピーターラビットの人気を知ったのです。同時に、そうした観光客に対して、作者であるビアトリクス・ポターのことや湖水地方の背景についてもっと詳しく知っていれば、より深くピーターラビットの世界を楽しむことができるのに、とも思ったんです。そこで私は、日本で研究を行うのと同時に、より多くの人に“もっと作品の世界をのぞいてみませんか?”という呼び掛けを行っていこうと決めたのです。
河野:
ご存知だとは思いますが、イギリスの湖水地方にはヒルトップと呼ばれる農場がありまして、それはポターがピーターラビットのイラストやグッズで得た利益で買い取った土地なんですね。現在はポターの遺言を受け継いで、ナショナル・トラストが保護していますが、このことからも分かる通り、ポター自身は生前、自然をこよなく愛していました。 また、そのことを証言するかのように、ポター研究の第一人者で、「ビアトリクス・ポター・ソサイエティ」の代表を務めるジュディ・テイラーさんは、『ポターは子供のための本の著者であるばかりでなく、風景と自然詩の画家でもあり、農業家でもあり、そして彼女自身が特にその点で人々に記憶してもらいたいと希望していた、自然と伝統文化の保護者でもありました』とも言っているんです。
河野:
ええ、できますよ。たとえば、『まちねずみジョニーのおはなし』という作品の中では、物語の最後で都会と田舎の生活をそれぞれ尊重しながらも、彼女自身は田舎で自然に囲まれて暮らすのが好きだと書いています。また別の作品では、家の中を掃除する際、自然のものを使って床を拭いたりと、環境を汚さず部屋をキレイにする知恵をさり気なく披露していたりします。さらに注意深くイラストを見てみると、買い物に行く時にお母さんが買い物カゴを持っていたり、ネコのシンプキンが牛乳を入れてもらう容器を持参していたりしていることにも気づくと思います。そう、これは今で言うマイバッグと同じことなんですよね。 ピーターラビットを読んでいると幸せな気持ちになれるのは、きっとこうした自然を大切にしたいと願うポターの気持ちが作品の中に散りばめられているからだと私は思います。ですからみなさんも、ピーターラビットの世界に触れることで、彼女と同じ想いを抱いてくれたらうれしいですね。
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